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見出しBUSINESS & MARKET REPORTS

2015年1月14日

経済の展望と広告/印刷の価格動向

GDPの推移、企業物価指数/広告、印刷ともに価格は上昇傾向

―― 2015年以降の経済展望 ――

2015年が明けて、政府は2014年度の経済成長率の見通しを、物価の上昇を除いた実質でマイナス成長になると公表した。消費税増税分と円安による物価の上昇などが主な要因で、マイナス成長となるのは、リーマンショック後の2009年度以来、5年ぶりとされる。

下のグラフはGDPの前年比(暦年)を並べたものであるが、成長率は実質でもゆるやかな下降傾向にあるように見える。為替の変動や、政府の政策など種々の要因で今後も増減を繰り返すだろうが、徐々に厳しくなっていくと考えて、常に将来の備えをすることを忘れてはならないと心を引き締めるべきではないだろうか。


厳しいGDPの推移であるが、個人消費のGDP(名目)に占める比率が、小さな伸び率だが着実に上昇している。

 今後、経済への負の要因として憂慮されるのが、人口の減少である。すでに後退局面に入っているが、これから本格的に減少する予測となっており、いっそう高齢者が増えて労働力となる年代の人口が少なくなる(下グラフ・人口予測)。このままでは消費の規模が縮小し、企業の生産力が落ち、経済はいっそう停滞することになってしまう。税収の悪化を避けたい政府の少子高齢化対策が奏功するのを待たれるばかりであるが、出生率が改善しても結果が出るのは数年から十数年先になるので、やはり備えは万全にしておくべきだろう。




―― 企業の海外進出と大手広告業、印刷業 ――

 国内市場は少子高齢化、多くの市場の成熟化などでGDPの推移にもあるとおり、もはや大きな成長は期待しがたい。下のグラフは、海外への進出企業の推移である。今では製造業に限らず、非製造業の進出も多く、進出社数、現地企業の売上金額ともに非製造業が製造業を抜いた。非製造業で中心なのは卸売業であるが、サービス業も増加している。

一方で、海外人経費の高騰、インフラの安定性の問題、労働者の質、そして円安が加わり、一部の製造業で国内回帰の動きが注目されている。
 付加価値の高い製品を中心に、研究から開発、製造までを国内で行うことになるが、海外の拠点の多くは残され、製造品目とその販売先に適したかたちで、海外生産は今後も継続されるだろう。製造業の国内製造回帰が労働力の受け皿になるかどうかと言えば、規模の問題や生産ラインの自動化の進展などで大きな期待は難しいかもしれない。しかし、経済へのプラス効果として、2015年以降に期待できる一つの材料ではある。


―― 広告業、印刷業の海外進出 ――

下のグラフは、大手広告業と印刷業の海外売上高を、総売上高に占める比率の推移で表している。表はそれぞれの合計の金額である。

 広告業大手も、海外展開に力を入れている。日本企業の海外進出で、プロモーションもグローバル対応がますます求められるようになった。一方で、海外の広告会社の日本進出などもあり、またインターネット広告会社やIT企業に広告予算の一部を奪われるなど、国内の競争激化を背景に、海外への力の入れようがうかがえる。特に広告業最大手の海外への注力の度合いが、3社全体の数値を引き上げている。また国内事業が安定しているのは、広告市場や広告価格の回復基調が小さくはないだろう。

 
 大手の印刷会社やエレクトロニクス分野の売上比率が高い印刷会社では、以前から海外の売上は少なくなかった。もちろん印刷分野でも海外進出を図っており、パッケージ印刷をはじめ、積極的に活動している。しかし国内市場の不振が、総売上高の足を引いているかたちになっている。




 中堅クラスの印刷業になると、包装印刷やテクニカルマニュアル、ラベル印刷業など、取引先の海外進出に合わせたものが多い。取引先(印刷発注者)からの依頼が基本ではあるが、現地の環境を考慮した印刷物のローカライズなどのプロフェッショナルなサービスも提供している。一方の中堅クラスの総合印刷会社は、海外へ進出しようにも現実的ではないのが現状である。国内事業の強化が中心となり、その分、プロモーションやマーケティング領域への事業拡大が進むことになるだろう。

広告業でも、大手以外で海外支援サービスを提供しているのは、一部のインターネット広告の会社などであり、まだ限定的である。ただ、海外パートナーとのアライアンスで、日本企業の進出をアシストする体制をもつ小規模なIT系の広告/マーケティング会社などもあり、通信技術の発達で、規模のさほど大きくない会社でも、Webマーケティングを中心に海外へのプロモーション・サービスを提供できる環境になってきたのも事実だ。

―― 広告と印刷物の企業物価指数推移 ――

 下のグラフは企業物価指数の推移を表している。広告業(全体)の回復が先行し、遅れをとってはいるものの平版印刷物の価格も上昇傾向にある。


 広告別の内訳を見ると、テレビやインターネットなど映像・画像系のメディアの回復が早かった。一方の新聞、雑誌等の紙メディアは、発行部数の停滞も手伝ってか、やや遅れ気味である。


 印刷では、用紙の値上げが利益を圧迫しているが、平版印刷物もそれに押されるように価格を上昇させている。印刷物の数量が期待できないとなると、単価向上や関連サービスでの売上拡大が、やはり重要になってくる。


 企業物価指数が示すとおり最終成果物の価格が上向きであるとするならば、むしろこの機に営業、企画、制作、製造の徹底的なコストの見直し、提案力の育成、商材の充実を図り、利幅を少しでも上げる努力をすることが、先行きのアドバンテージとなるだろう。

 経済の動向はGDP実質マイナス成長のアナウンスが合ったとおりであり、価格に対する厳しさが強まらないとも限らない。単なる値引きや人員削減、給与のカットなど対症療法的な対応ではなく、長期に渡り耐えられるような仕組みを計画的、段階的に構築していくことが肝要である。それには数値管理、IT化や自動化などが、営業から企画・制作、製造に至るまで、再検討される必要があるだろう。

―― ワンストップサービス の重要性――

 経済の先行きからも、広告や印刷の発注額の増加は難しい。広告業、印刷業、そしてマーケティング会社やCRMなどのサービスを提供するIT企業との間で、販売促進やコミュニケーションの支援という目的で競合が激しくなることが予想できる。次第に業種・業態の境も曖昧になってくるだろう。ワンストップ/フルフィルメントを目指すのならば、積極的に自社の業務以外の仕事も引き受け、元請としてのポジションを獲得することが、売上面、営業戦略面で欠かせないといえるのではないだろうか。

本レポートは、弊社マーケティングレポート制作上の仮説構築のためのデータ分析や情報入手、途中経過を報告しているものです。

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