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見出しBUSINESS & MARKET REPORTS

2015年4月1日

通販メディアと販売力

伸びる通販市場/インターネット通販が牽引力の一つに

―― 堅調な伸びを維持する通販市場 ――

 テレビ放送というメディアを使った「通販チャンネル/TVショップ」、カタログによる「カタログ通販」、近年はインターネットを介した「インターネット販売」などが通販の主力チャネルである。どのチャネルも、「周知する」というメディアの役割と「販売する」という直販の機能を合わせ持っているが、中でもインターネット通販が注目されている。

 下のグラフは通販市場の推移である。ここ10年の平均成長率は7.7%であり、楽天、アマゾンなど大手EC企業の牽引、店舗系ネット通販の伸び、新商品/新サービス事業のネット通販への参入、高齢化によるシニア市場の拡大とメーカーの通販(健康食品、化粧品)/宅配事業の伸びが、成長要因として挙げられている。やはり通販市場におけるインターネットの貢献は、大きいと言えるだろう。


 次のグラフは、テレビショッピング、カタログ通販、インターネット通販の利用経験者(1年間の利用有無)による利用の理由である。
(消費者庁「消費者意識基本調査」訪問留置き・回収調査 〈全体 H24 n=6,690 H25 n=6,528〉)


「営業時間を気にせず購入できる」は、従来の通販の多くが葉書やコールセンターを介したものが多かったが、パソコン等の画面から直接申し込めるインターネット通販の手軽さが表れている。

「店舗までの移動時間・交通費が不要」は、インターネット以外の通販でも条件は同じであるが、より遠くの地域の商材(海外等)でも購入できる魅力が、やはりインターネットにはあると解釈することもできる。

「商品の詳細な説明がある」では、実演をもとに販売するテレビショッピングが、高い回答率となっている。

 全体として、「品揃えが豊富・このチャネルでしか買えない商品がある」の回答率が高く、通販における重要なポイントと言える。競合との差別化の上でも、品揃えの豊富さや、希少性をアピールすることが大切である。

 また「以前から利用、便利だから」の回答率の高さから、使いやすさや、使うことのメリットを充分に利用者に経験してもらうことも、利用促進のポイントと言える。
 反面、使いづらさや不都合な経験があると、次からは利用されなくなる危険もある。実店舗では、その地域の特定の商材を扱う店舗は限られている場合があり、利用者は多少気が進まなくても、そこを利用せざるを得ない。インターネットには、そういう制限がなくなるからである。

 インターネット通販と他の通販との回答率の差を表したのが、以下のグラフである。


 インターネット通販では、「商品や価格、品質を比較しやすい」が他の通販にはない強さとなっている。同じ商品、同じ種類の商品を他のサイトで比較でき、口コミサイトの評価も見ることができる。サイト上で比較することや口コミサイトの利用は、結果として「商品説明」を受けたのと同じ効果があるのかもしれない。自分の購入が「正しい/正しかった」という裏付けがほしいという心理にも関係しているだろう。

インターネット通販サイトの構築・運営の際は、自社サイト内で製品や価格が比較できることや、評価サイト等との連係などを効果的に図ることで、購買確率を高めることができると言える。

次のグラフは、1年間の各通販の利用経験者の率である。


 カタログ通販サイトは、男性では年齢が高まるとともに利用率が上昇し、活発なのは30代から60代の女性である。世帯年収別では、やや年収の高い層での利用率が高まる傾向がある。H24年とH25年の全体の回答率の推移は、ほぼ横ばいである。


 インターネットの利用率は若い世代ほど高いため、インターネット通販の利用者の中心は、男女ともに20代と30代である。

注目できるのは、世帯年収が高いほど利用率が上昇することである。「通販」というと、一般的には女性の愛好者と庶民の購入チャネルというイメージがあるが、インターネットを介することで男性利用者と年収の高い層を取り込めていると言えるだろう。特に後者は、インターネットという広い世界で、高価だが希少で趣味性の高いものを求める高所得者層の姿が想像できる。通販専門会社の品揃えを超えたところでも、ネット通販での購買が行なわれているということである。

インターネット通販の24年と25年の回答の比較では、全体の集計結果でも利用率の上昇がうかがえるが、男性の20代から30代の主力層と、男女の50代や60代以上の利用率の上昇がうかがえる。


 テレビショッピングの利用経験者は、カタログ通販よりもさらに年代が高くなり、50歳以上から70歳以上が多い。放送上の実演という説明の明快さや、テレビメディアという信頼性が、年代の高い層に受けていると言えるだろう。世帯年収別では、やや年収の低い層から支持されている傾向がある。平成24年と25年の比較では、50代以上の男性の利用率の上昇が認められる。


 平成24年の結果のみであるが、広告、チラシ、ダイレクトメール等による通信販売では、50代以上の男女や、世帯年収の低い層での利用率が高い。チラシとダイレクトメールが同列で質問されているので、ダイレクトメールが年収の低い層への有効な手段かどうかは明らかではない。チラシの効果としては、より庶民的な層への有効な周知・販促チャネルであると言える。



―― 期待できる高年齢層のネット通販利用 ――

 次のグラフは、性年代別のインターネット利用者の推移である。男女ともに60歳代半ばから70歳代でのインターネットの利用率が上昇している。


 年金が収入の中心であり、預貯金の額が多いとはいえ、それほど出費は期待できいかもしれないが、孫への支出や夫婦で楽しむ食事や旅行、あるいは趣味性の高いアイテムなどの購入などは期待できるのではないだろうか。

 また、慣れない高齢者の方に安心感を持ってもらうためには、コールセンターなどとのコンビネーションも必要かもしれない。


―― 通販もクロスメディア化 ――

 通販市場の今後としては、以下が指摘できる。

@カタログ通販の場合はカタログを手にする必要があり、インターネット通販でも以前は、パソコンのある居間や書斎などに足を運ばなければならなかった。それがスマートフォンの普及で、外出先などでも思いついた時に通販を利用することができるようになった。スマートフォンを介して、他のメディア(テレビやラジオ<ながら視聴>、AR<拡張現実>付の紙の広告・記事)や、街角のポスター、実店舗の商品ディスプレイなどとの連係により、訴求力をより高めることも可能になる。

Aこれまで、女性より男性の方がインターネットの利用率はやや高かったが、スマートフォンの普及で女性のインターネットユーザーが増加している。インターネット通販についても、女性の利用率が今後も上昇する。

B高齢者のインターネットの利用率上昇で、高齢者のインターネット通販の利用者を増やせる機会が訪れている。不慣れなインターネットでのコミュニケーションについて、ネガティブな要素を持たれないための施策が求められるケースもある。

Cインターネット通販では、自社の通販サイトや自社のSNSのみならず、周囲に存在する補完的なサイト(口コミサイトや評価サイト、比較サイト等)の活用が、認知や商品理解の向上などで、利用率を高められる可能性がある。また、コミュニティサイトとの連動や立ち上げも、利用者がポジティブな比較情報を得られるだけでなく、サイトの親近感・好感度の向上にも効果的である。

D通販というと庶民のイメージがあるが、希少性、趣味性の高い商品などで、そのニーズ等に合致し、信頼性(電話やメールでの問い合わせ窓口含む)が得られれば、インターネット経由で高額な商品も購入される可能性がある。商品ラインナップの異なる他社や、海外のサイトとの提携なども注目できる。

Eインターネットをメディアとして活用する業種・業態の多くで、今後はインターネットを介しての物販やサービス提供の機会が増える(例:ホテルの料理の通販→民宿でその地方の特産品の通販)。また、特定のコミュニティ(例:趣味の会や特定疾患を持っている方たち等)を支援する上での物販やサービスの提供などの価値も高まる。通販ビジネスにおいては、競合の増加から魅力的な商品/サイトの充実だけではなく、サイトへの誘導などのマーケティングや、その対象に合ったきめ細かな商品やサービスの提供などによるリピートオーダーの確保などの施策が、より重要なっていく。

Fカタログ通販からインターネット通販サイトの併設やそちらへのシフトが進み、紙メディアのカタログ等の役割も変化する。インターネットを利用しない/できない層への利用促進や、認知向上活動としての配布、特定のターゲットへのアプローチなどで、利用・訴求シーンや対象にあったカタログのデザインや内容に変化できるような、オンデマンド性が求められるようになる。またAR(拡張現実)との連係で、静止画・2次元で限られていた紙面の枠を超えた動画情報の提供などの利用価値も高まる。

 今後も通販市場は、インターネット通販を中心に成長の余地は大きいが、その分、サイト同士の競合も激化する。新し価値の提供や、デジタルマーケティングの活用のみならず、紙のダイレクトメールの活用や、ロイヤリティを高められるようなコミュニケーション活動を企画するなど、オーソドックスで古典的な手法が、適宜必要である。


本レポートは、弊社マーケティングレポート制作上の仮説構築のためのデータ分析や情報入手、途中経過を報告しているものです。


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