テキスト ボックス: V.消費者意識と行動

 

 

 

 

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1.消費者意識と行動

1-1 商品の購入時の選択基準

 ■商品/サービスの選択時に意識する要素(全体結果)

商品やサービスの購入や利用を開始するときに、意識する項目の強さを比較したのが以下のグラフである。価格、機能、安全性など基本的な項目が上位にあり、続いて評判や接客態度、ブランドイメージ、広告の順となる。

購入者・利用者は評判を気にしており、インターネットの口コミサイトや価格比較サイトの利用が多い理由でもある。またインターネットの時代でも、接客態度など提供側の姿勢がやはり重要である点も見逃せない。「人は人からの情報に信頼を寄せやすい」と見ることがで、他人というフィルターを通して情報を取捨選択し、内容を深く利用しようとしている。

 

これらの結果から、販促の効果を考える場合、優れたブランドイメージと、実際に口コミで評判を得られるような商材の価値と、それを販売する側の真摯な態度が求められている。

例えば通信販売専門のサイトであっても、利用者の評判や声を集めることや、あたかも販売員が丁寧に説明しているようなおもてなしの心が伝わるデザインや設計であることが望ましい。

 

電子メールや紙メディアのダイレクトメールでも、文面に宛先の個人名が挿入され、その人固有の情報(購入履歴や前回の利用内容)が書かれ、送り手が会社名に続き担当者の個人名が明記されていることなどで、機械的なダイレクトメールではない私信のような印象を抱かせる効果が期待できる。

 

ダイレクトメールの後のフォローコール(電話によるメールの到着/開封確認)でも、不特定多数のオペレータが電話をするより、その人の担当として決められたスタッフが、その旨を伝え、個人名を名乗った方が効果的であると言えるだろう。

 

 2012年と2013年の比較では、それぞれの項目で上昇傾向が認められるが、わずかな範囲なので経年でその傾向を追う必要がある。

 

 【商品/サービス選択時に意識するもの】

※「常に意識する(3点)」「よく意識する(2点)」「たまに意識する(1点)」

「ほとんど・全く意識しない(0点)」で、「常に意識する」が100%の回答を100点として集計。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■商品/サービス選択時に意識する要素(性・年代・世帯年収別)<価格>

 同じ質問結果を、性・年代別、世帯年収別に集計したのが以下のグラフである。

概ね、男女ともに50代以下で価格に対する点数が高い。若い世代は給与にまだ余裕がなく、中高年世代は家計が重荷となる。子供が独立した60代以降の方が、むしろ価格についてはこだわりがない。

 

世帯年収別では、年収が1,000万円以上の世帯の回答者でも、価格に対する点数(意識する度合い)が大きく落ちることはない。収入の高い層は、高価な買い物で価格評価が厳しいのは当然にしても、商品全般に対して評価は厳しいと考えるべきだろう。

世帯年収が400万円から1,000万円という標準的な世帯で点数がやや高い傾向がある。この年収の世帯は規模的にも大きな購買層であるが、価格に対する評価がもっとも厳しいということになる。

 

【性・年代・世帯年収別 商品/サービス選択時に意識するもの<価格>】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■商品/サービス選択時に意識する要素(性・年代・世帯年収別)<機能>

男性では10代から40代までが商品やサービスの機能に対する意識が高い。女性もほぼ同様だが、10代と高齢者(70代以上)で、男性よりもやや点数が下がる傾向がある。

世帯年収別では、1,500万円前後をピークにそれより高い層と低い層で点数が下がる。世帯年収400万円以下では点数の下降が大きい。同じ年齢ならば年収が低い層ほど機能への意識は弱くなることになる。全体として年収の高い層ほど機能に対する点数が高く、意識の度合いが強いことになる。高所得者への商材の販売では、機能的なニーズの充足は優先度が高いと言える。

 

2012年(H24)から2013年(H25)の動きでは、概ね同程度と言える。経年で追う必要があるが、女性の就業率の上昇、専門職業への従事などで、職場で仕事上の評価をしたり、評価されたりするなどの機会が増加し、インターネットによる情報の入手などが加わり、意識や評価軸に変化があってもおかしくはない。女性への広告でもイメージ戦略のみならず、機能評価ができるような情報の提供方法もあるだろう。

 

【性・年代・世帯年収別 商品/サービス選択時に意識するもの<機能>】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■商品/サービス選択時に意識する要素(性・年代・世帯年収別)<安全性>

男性では安全性を意識するという点数が、全体として40代以上から高くなり、70代がピークとなる。女性もほぼ同様だが、男性よりも全般的に点数が高く、より安全性を重視している。

商材の機能やメリットの他、商品によっては安全性について充分に理解していただくコミュニケーションが必要となる。

年収別では、どの年収でも安全性に対する点数はほぼ同じである。

 

【性・年代・世帯年収別 商品/サービス選択時に意識するもの<安全性>】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■商品/サービス選択時に意識する要素(性・年代・世帯年収別)<広告>

 広告の意識度合いについては、男性では30代を除いた10代と40代以上で点数の上昇があり、女性では40代から70代の間で明確に点数が高い。

年収別では、世帯収入が低いほど広告への意識が高いが、折込み・チラシ広告をイメージしての回答であるとも想定でき、広告の種類によっては、この傾向は変わるだろう。

 

【性・年代・世帯年収別 商品/サービス選択時に意識するもの<広告>】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■商品/サービス選択時に意識する要素(性・年代・世帯年収別)<ブランドイメージ>

ブランドイメージについては、男性では20代から40代、女性では20代から50代での点数が高い。男女ともに10代もけっして低いとは言えず、若い世代からブランドとして認識してもらうコミュニケーションは重要である。

 世帯年収別では、年収2,000万円までが概ね上昇傾向となる。

 

【性・年代・世帯年収別 商品/サービス選択時に意識するもの<ブランドイメージ>】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■商品/サービス選択時に意識する要素(性・年代・世帯年収別)<評判>

評判については、若い世代ほど気にする傾向があり、男女ともに20代がもっとも高い。10代、20代はソーシャルメディア世代と言え、この世代に対しては、口コミの重要さがうかがえる。

物事に対する辛辣な評価は、男女ともに中高年に多いように思えるが、若い世代ほど評判を気にしており、購入・利用に際しては、客観的かつ冷静に価値を判断しようとする姿勢うかがえる。一方的な販売側からのメッセージのみならず、友人等からの後押しとしての良い評価が得られることが重要である。

 

世帯年収別では、高所得者層ほど評判に対する点数が高くなる。高所得者ほど自分の好みで選択購入する傾向が強いように想像しがちだが、冷静に評判にも目を向けている。世帯収入が高い世帯は高学歴者や、社会である程度の地位にあり知見を持つ人も多い。高収入者も購入・利用に際しては、客観的かつ冷静に価値を判断している。

 

【性・年代・世帯年収別 商品/サービス選択時に意識するもの<評判>】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■商品/サービス選択時に意識する要素(性・年代・世帯年収別)<特典>

 全般的に、女性の方が特典を気にする傾向がうかがえる。男性は若い年代ほど点数が高くなり、10代がピークとなる。女性は、10代も高いが、20代、30代とさらに点数が上昇し、もっとも高いのは40代である。

 

 世帯年収別では、概ね年収の低い層ほど特典に対する点数が高く、販促手法としては効果的である。

 これらの結果から、男性の10代、20代、女性の40代で、かつ、それほど年収が高くない層については、特典が有効は販促手段になる。年収が高い層に対してもそれなりに価値の高い特典ならば、販促効果は期待できると言えるだろう。すべての購入者に一律の特典ではなく、ターゲットごとの設定が効果的である。

 

【性・年代・世帯年収別 商品/サービス選択時に意識するもの<特典>】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■商品/サービス選択時に意識する要素(性・年代・世帯年収別)<接客態度>

 接客態度については、男女ともに10代と80歳前後の高齢者を除くと、20代がやや低いものの年代間での点数差は少ない結果となった。男女では女性の点数が高い。

年代により購入時の説明・接客態度は求めるものが異なることが想定できる。これまでの回答結果から、若い世代には、接客スタッフから感じるブランド価値や、機能についての充分な説明が重要であり、60代以上では、安全と安心が得られるような説明が大切である。

 

【性・年代・世帯年収別 商品/サービス選択時に意識するもの<購入時の説明・接客態度>】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1-2 購入チャネル・1年以内に利用(性・年代・世帯年収別) 

 以下のグラフは、1年以内に利用したことがある販売形態について、性・年代・世帯年収別に集計した結果である。

 

 ■カタログ通販

   ※非表示

 

 ■インターネット通販

   ※非表示

 

 TVショップ

   ※非表示

 

 ■広告、チラシ、ダイレクトメール等による通信販売

   ※非表示

 

 ■通販チャネルの利用理由

   ※非表示

 

 

2.消費行動の推移

2-1 消費の用途

 ■お金の使い道

   ※非表示

 

 ■消費価値認識の推移

   ※非表示

 

 ■余暇やスポーツ活動

   ※非表示

 

 ■購入チャネルの推移

   ※非表示

 

 

2-2 購入と情報チャネル

 

 ■購入情報の過不足

   ※非表示

 

 

3.幸福感や将来に対する意識

3-1 幸福感と幸福の基準

■性・年代別幸福度評価

 下のグラフは「とても不幸」を0点、「とても幸せ」を10点で自己評価してもらった結果である。

全体で7.4点、2013年(H25)と2014年(H26)で点数の差はほとんどない。男性と女性では女性の方がやや点数が高く、年齢別では、2013年は30代がもっとも高かったが、2014年は10代が抜いた。50代や60代も点数は高く、全体として年代での大きな違いはなく、それぞれのライフステージに満足していると見ることができる。

 

 職業別では専業主婦(主夫)の満足度が高く、共働きしないでも済むほどの世帯年収のある家庭である可能性はある。

 年収別の幸福度の自己採点では、年収が高い回答者ほど点数の上昇が認められる。

 

【幸福度 自己採点(とても不幸0点 とても幸せ10点)】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次のグラフは、幸福を判断する項目について、主要な年代の区分別に表したものである。

「家計の状況(所得・消費)」(全体回答結果47.2%)は重視事項として高く、全体結果では2番目に位置し、収入や豊かな消費が人の幸福度を左右する率は高いと言える。

高齢化社会を意識し、また収入が期待できないとなると健康が資産として重視される。幸福感の重視事項として、「健康状況」(54.6%)を挙げる回答が40代以上で高く、「家計の状況」の回答率を超えている。

 

「家族関係」(46.8%)の回答も高く、続く「精神的なゆとり」(32.0%)では20代・30代の回答率が高い。「仕事の充実度」(8.7%)よりも「自由な時間」(20.9%)や「趣味や社会貢献などの生きがい」(15.4%)の方が、どの年代でも多く回答されており、「充実した余暇」(12.2%)も幸福度の判断基準として上位に挙げられている。

なお「友人関係」(8.3%)はさほど高いとは言えないが、独身者や若い夫婦が多いであろう20代・30代と、子供が独立し老後を迎える65歳以上でやや回答率が高い。経年で結果を追うべき項目である。

 

 【幸福感の判断における重視事項(複数回答)】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3-2 消費者意識と先行きの見方

 ■消費者意識の推移

 下のグラフは、内閣府「消費動向調査」の結果の推移である。「暮らし向き」「収入の増え方」に比べ、「雇用環境」については敏感な反応が表れている。

右のグラフは、「暮らし向き」など三つの指標をまとめた消費者態度指数と、平均給与、完全失業率の推移を重ねてたものである。平均給与の下降と完全失業率の上昇とともに、消費者態度指数は下がっており、年により上下はあるものの、1985年から現在まで消費者のマインドは下向きになったままになってしまった。

 

 【消費者動向調査結果の推移と完全失業率、平均給与の推移】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■年代別暮らしや収入等の見通しや評価

 下のグラフは、「暮らし向き」と「収入の増え方」について、回答結果に配点し、点数で年代別の差を表している。

 どの年代でも、暮らし向きと収入について、「良くなる/増える」という回答を「悪くなる/減る」という回答がうわまわり、マイナス得点となっている。

年代の高い層ほどより厳しく見ており、2013年(H25)と2014年(H26)の比較では、2014年の方がマイナス度が強まっている。収入が伸びず、消費税などの負担が増し、それでも家族を養っていかなければならない40代や、老後資金について気になりはじめる50代、実際に年金の減少などを受け、不安を感じる60代以降など、消費者意識としてはネガティブ度が強い。

60代以降の世代は他の若い世代より貯蓄額が多いが、これらの心配事からそれを留保しようとする意識は強まってしまっただろう。

 

【消費者の意識「暮らし向き」】           【消費者の意識「収入の増え方」】

  ※例:良くなる=2  やや良くなる=1点 やや悪くなる=-1点 悪くなる=-2点 等 弊社で点数化し集計

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雇用環境と耐久消費財の買い時については、年代間で大きな差はないが、雇用環境について2013年(H25)より2014年(H26)の方がマイナス率の幅が広がっており、高齢者ほどその傾向が強い。耐久財の買い時について29歳以下はマイナス得点が2014H26)に比較しやや縮小したが、点数としてはまだマイナスが大きいので消費がすぐに期待できるものではないだろう。

 

 【消費者の意識「雇用環境」】          【消費者の意識「耐久消費財 買い時」】

※例:良くなる=2  やや良くなる=1点 やや悪くなる=-1点 悪くなる=-2点 等 弊社で点数化し集計

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「資産価値」については、20代以下の若い世代で点数のマイナスが高く、40代以降は年代の高まりとともにマイナスの点数が上昇する。20代以下を除き、どの年代でも、2013H25)より2014年(H26)の方がマイナス評価が増えている。

 

【消費者の意識「資産価値」】

※例:良くなる=2  やや良くなる=1点 やや悪くなる=-1点 悪くなる=-2点 等 弊社で点数化し集計

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

経済の環境が好転し、GDP等の数値が改善されても、消費者としては先行きの不安が先行し、平成26年に向けてすべての回答項目でマイナス度が強まっており、意識は上向いていない。一方で、消費動向調査の結果と家庭の消費支出の強い相関はないため、賃金が少しでも上昇すればその分消費が確実に増えるのも事実である。

 

女性の就労機会の増加、オフィス環境に縛られない労働環境の提供による主婦等の休眠ワーカーの復帰、余暇には趣味に即した副業ができる環境とそれを容認する社内規定、実際に仕事のやり取りができるクラウドソーシングのような環境など、官民一体で柔軟な仕組みを構築し、社会に提供できるようにすることが肝要であり、それが実質的な消費を増やすことにつながることになる。

 

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