テキスト ボックス: U.消費者環境の変化

 

 

 

 

※グラフやその数値を知りたい方は、左フレームContents内の「Data」をクリックして下さい。

 

 

1.消費者形態の変化

1-1 就業率

 ■性・年齢(5歳階級別) 就業率

下のグラフと表は、性と年齢5歳階級別の就業率を示している。

男性の場合はシンプルであり、高校や専門学校、大学を卒業してから一般的な定年退職の年齢とされる60歳の前後まで働き続ける。近年は、男性の非正規雇用者率の高まりや、早期の退職勧奨による中高年の非正規雇用化などの変化もあり、消費に影響しているのは事実である。しかしその多くは収入の増減による消費規模の変化に表れることが多いだろう。

 

一方、女性は、最終学齢の上昇や一般事務職ではない専門職の増加などがあり、今も変化している。配偶者の給与の減少などから働くことへの意識も変化し、働くなら給与が高いところ、働き甲斐がありキャリアになる職業を選ぼうとする意思なども強まっていると想像できる。

この章のデータにもあるとおり、女性の給与の水準や管理職率の低さなど、男性との差は歴然である。しかしその差が縮まる方向に社会は進むと考えられ、女性は社会的に活躍の場を広げることになる。その結果、女性の消費の方向性や対象も変化し、それが社会全体の消費に影響するような現象も起こりうる。

 

20代までの女性の就業率は高く、30代で出産のため就業率の低下が見られるが、再び40代から就業率が高まり、50代の後半からまた下降傾向となる。男性に比べ労働時間やそれに対応した賃金に格差はあるが、就業率で見ると男性と女性との間に大きな差はなくなってきた。2013年から2014年にかけての変化では、30代後半から40代前半の女性の就業率の向上が見られる。就業率が高まり、さらに職種が専門家し重要な役割が与えられれば、日常の意識や消費も変化するだろう。

 

 【性・年齢(5歳階級)別 就業率 2014H26)年】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■性・年齢(5歳階級別) 就業率の推移

 下のグラフは、性と年齢5歳階級別に就業率の推移を示している。

 20代後半から30代前半の女性の就業率の上昇が目につくが、30代後半も、2010年以降就業率が上昇気味になっている。

就業することで服装や化粧にも気を使い、家計を助ける目的が大きいにしても、自由にできるお金も少しは得られ、仕事に関係のある新しい情報も求めるようになる。働くことで昼食は外食や調理食品になり、パート勤務で夕飯の支度の時間には帰宅できたとしても、調理品や味付けされた調味料類、そして冷凍食品は重宝する。仕事が遅くなれば夕食も外食や調理食品で済ませる機会も増えるだろう。

 

40代や50代でも女性の就業率が高まっている。子育てが一段落する頃で、多くは家計のためだろう。男女ともに給与の上昇が思うようには期待できなくなっており、夫婦共働きが増え、独身女性ならばより安定した仕事への就労機会や社内での地位向上、専門知識習得など、就労環境の変化で女性のニーズもまた変化していくことになる。

 

60歳以降でも男女ともに就労率は上昇しており、65歳以上でも、わずかだが増えている。年金支給開始時期の延長や支給額削減への不安、あるいは生きがい探しなど、さまざまな思考があると思われる。

例えば、食事にしても就労後となると簡単に調理できるものが選択されるようになるだろう。魚よりも調理が楽な肉類、素材よりも半調理・調理済み食品、生うどん・そばよりも即席めん、即席めんよりもカップめんと、年齢の高い人たちでも求める食の種類や形態が変化していくことがありえる。

 

 【性・年齢(5歳階級)別 就業率推移】

  <1519歳>             <2024歳>             <2529歳>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  <3034歳>              3539歳>              <4044歳>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  <4549歳>              <5054歳>              <5559歳>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  <6064歳>             <65歳以上>             <総数>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■性・年齢(5歳階級別) 就業者数の平均成長率

就労率が上昇してもその世代の就労者が増えるとは限らない。人口の動態に母数が左右されるからである。下のグラフは、年齢5歳階級別に2004年から2014年の就労者数のCAGR(年平均成長率)を表している。人口の推移と同様に、男女ともに40代前半と60歳以上の年代での就労者数の上昇があり、20代、30代は就労率が上昇していても就労者数は減ってしまっている。

 

給与所得者の多数を占める中高年の雇用を安定させることで、消費の大きな部分を維持できる。高齢化による若年労働者の不足が叫ばれているように、人口が減る状況にあっては、老若男女を問合わず就労率を高める工夫が重要である。すでに就業率の高い20代、30代の男性よりも、同年代の女性の就業率の向上が就労者数の拡大につながる現実的な方法と言えるだろう。

労働需要が、それに応えられるほどは存在しないという現実があるかもしれない。しかし、就労者・給与所得者が増えることで消費が拡大すれば、経済効果としての役割のひとつを担うことになり、最終的には新しい労働需要を生む可能性がある。

 

 【年齢階級別就労者数の年平均成長率 2004年〜2014年】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1-2 職業・職種別就業者数

2010年までの職業別就業者数比率の推移

グラフは職業別の就業者数の比率の推移を示している。

男性では、管理職の比率が下降傾向にあり、替わって専門的・技術的職業従事者の比率が高まっている。販売従事者もゆるやかではあるが下降傾向にある<下グラフ男性@>。かつて、化粧品から百科事典までが訪問セールスの対象だったが、小売業の進展と大規模化、通信販売の発達などで、販売スタッフの数は増加傾向にはない。また、販売というよりも、顧客の相談に乗るコンサルティングやサービス担当としての兼任などもあり、職種の境界もやや曖昧になってきた。

 

農林漁業は産業構造の変化、都市部への人口集中、離農、あるいは近代技術の導入などで作業者は減少している。運輸・通信従事者も、効率化、自動化、IT化等で従事者は減少傾向にある。

 機械/システムの保安の必要性や、サービス業の増加などで、それに関わる職業も増えている<男性A>。

製造・制作・機械運転・建設などの作業者も、自動化の他、工場の海外移転や、そのような労働を忌避する若者の増加などで、従事者・作業者は減少傾向にある<男性B>。

 

  【職業・職種別 就業者数比率の推移<男性> 2010年までの推移】

  <男性@>             <男性A>             <男性B>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラフは同様に、女性の職業別の就業者数の比率を表している。

女性も男性と同じく、専門的・技術的職業従事者、保安職業、サービス職業従事者が増えており、保安職業、サービス職業従事者ではその構成比の増加率は男性よりも女性が高く、技術やサービス現場での女性の役割の高まりがうかがえる。

 

【職業・職種別 就業者数比率の推移<女性> 2010年までの推移】

  <女性@>             <女性A>             <女性B>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2010年から2014年の職業別就業者数比率の推移

 職業別就業者数比率の推移の近年の傾向を表しているのが、以下のグラフと表である。

製造業の海外移転等による国内産業のサービス化もほぼ一段落し、その結果右グラフにあるとおり、生産工程従事者の比率は減少傾向を継続させているものの、大きな動き見られない。

一方の事務・営業/サービス系の仕事では、専門的・技術的職業従事者の比率が引き続き上昇しており、販売従事者の比率が下降している。業務や職務が細分化され専門化する傾向と、販売不振などから販売スタッフの縮小や合理化が進められている背景もありうる。ゆるやかな動きではあるが、サービス職業従事者の比率は上昇を継続させている。

 

【職業・職種別 就業者数比率<男性> 2010年以降の推移】

  <男性@>                     <男性A>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  <従事者数と構成比  男性>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女性の職業別の就労者率で注目したいのは、管理的職業従事者の推移である。グラフとその下の表の数値にもあるとおり、女性の管理的職業従事者の比率は大きくは増えていない。一方、男性の管理的職業従事者の率はむしろ低下していることから(前の表)、管理職の男女比で見れば、差はあるとはいえ、女性が男性にわずかだが近づいたことになる。

 

年功序列制から成果に応じた評価による昇給や昇格が重視されるようになると、企業業績が伸び悩むことで個人の業務成績も、その向上が難しくなった。雇用側は賃金を抑制したいのとポスト不足で、昇格の評価をより厳しくし、期待されながらも、女性管理職が急速に増えることは難しいだろう。ただ女性がリーダーとなってプロジェクトを推進するなど、女性の目で見た事業の視点や気づき、アイデアなどはこれからのサービス重視の社会に生かされるべきだろう。

 

【職業・職種別 就業者数比率<女性> 2010年以降の推移】

  <女性@>                     <女性A>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  <従事者数と構成比  女性>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1-3 雇用形態の推移

 ■非正規雇用者率の推移

 下のグラフにあるとおり、正規雇用者、非正規雇用者ともに雇用者数の前年比を上昇気味にしている。ただ、やや非正規雇用者数の伸び率が高く、2013年、2014年の正規雇用者は男女ともにマイナス推移で終わっている。この2年間、雇用者が増えた分は非正規雇用者が中心である。

 景気の回復等で企業業績が上向いたとしても内情はやはり厳しく、とくに調整が難しい人材面に関しては、慎重な態度が継続されるだろう。

 

 【役員を除く雇用者の性別・正規/非正規雇用者数の前年比推移】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下のグラフは、各年代での非正規雇用者の率を表している。

 男女のどの年代でも概ね非正規化が進行している。男性の25歳から34歳、35歳から44歳といった働き盛りの年齢でも非正規雇用者の率が上昇している。

 女性は全般的に非正規雇用者の率が高く、それがさらに上昇している。

 

 【非正規の職員・従業員者率の推移(役員を除く雇用者に占める比率)】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.給与の動向

2-1 給与所得者数

 ■性・年齢(5歳階級)別の給与所得者数

下左のグラフは男女の年齢(5歳階級)別の給与所得者数を表している。

40代前半までは男性と女性の給与所得者数の比率は男性が大きく上回っているが、40代後半からはその差は縮小し、女性の給与所得者数・給与所得者率も高い位置にくる。

 

 右のグラフは、給与所得の総額(支払った給与の総額)と平均給与を性年齢(5歳階級)別で比較している。

平均給与における男女の差は歴然であり、女性は年齢が高くなっても平均給与の伸びは非常に少ない。前述の非正規雇用者の率などが関係しており、女性の就労者・就労率は向上したとはいえ、男性並みの職種等に就いた人の率は少ないと言える。また主婦の場合、正規雇用者になりたくても、家事等の関係で不可能な場合もある。そういう状況をアシストする社会的な仕組みやサービスの充実も求められる。

 

給与総額(平均給与×給与所得者数)の規模では、人口も多く平均給与も高い40代前半の男性がもっとも大きい。消費者のマーケットサイズとして捉えれば、平均給与も低く、人口の関係から給与所得者数の少ない20代や30代前半と大きな開きがある。この年代の男性の給与は家族のために使われるものも大きく、この男性の妻や子である年代の消費も期待できると見ることができる。

 

男性の平均給与は50代前半がピークとなり、子供の学費等が最大となる時期でもあるが、消費は期待できる。趣味性の高い耐久消費財への出費が大きいのもこの年代であり、20代や30代の頃の大型消費の経験にもとづいた消費行動なども残されている。

 

 女性も給与総額では40代前半が最大となるが、男性に比べればかなり規模が小さい。平均給与も年齢の上昇にともなわず、むしろ低下気味になる。女性の就業者数や給与所得者数が増えてもポストがないなど、給与格差は依然として大きい。

 しかし共働きが前提ならば、平均給与の高い40代後半から50代後半にかけての夫との収入を合わせれば高い世帯収入となり、夫婦それぞれの消費も世帯としての消費も、潜在的な規模は大きいことになる。

 

【性・年齢(5歳階級)別2013年(H25)      【性・年齢(5歳階級)別給与総額と平均給与2013年(H25)】

給与所得者数と人口比(給与所得者数、就業者数)】 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■性・年齢(5歳階級)別 給与所得者数、給与総額、平均給与の推移

 <10代給与所得者>

 下のグラフは19歳以下男女の給与所得者数と給与総額(棒グラフ)と平均給与(折れ線グラフ)の推移を表している

男性は85年から95年までに大きく伸びたが、2000年以降は給与所得者数、平均給与ともに下降し、給与総額を押し下げた。平均給与の上昇はないものの、給与所得者数が増えた結果、2011年から給与総額が上昇している。

 女性は主に平均給与の下落で総額が縮小してしまったが、2013年からは回復の兆しがある。

 

 【性・年齢(5歳階級)別 給与所得者数、給与総額、平均給与の推移】

   <19歳以下 男性>                <19歳以下 女性>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          ※非表示

 

 

 

 

 

70代以上給与所得者>

 70代以上男性の給与所得者の平均給与は360万円であり、人口の動態から給与所得者数が増え、給与総額を上昇させている。

 女性については、平均給与等の下降の影響で、給与所得者数はやや増加したものの総額の上昇は微増にとどまっている。

 

 【性・年齢(5歳階級)別 給与所得者数、給与総額、平均給与の推移】

  <70歳以上 男性>                 <70歳以上 女性>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■性・年齢(5歳階級)別 給与所得者数、給与総額、平均給与の平均成長率

 給与所得者数、平均給与、給与総額の平均成長率についてまとめたのが以下のグラフである。

 この数年間で20代や30代は給与所得者数を明らかに減らしており、この年代をターゲットにした商材は、その分売れる機会が縮小したことになる。

 一方、人口動態の関係で40代前半から50代前半までは給与所得者が増えることで給与総額の上昇が認められる。

高齢化社会というと言葉から年金生活者がイメージされるが、現役時代よりは平均給与が低くなるとはいえ、60代以上の給与所得者は健在であり、人口動態による人口増、就業率の上昇、熟年者・高齢者の社会参加を求める動きなどもあり、消費者マーケットとして期待できると見ることができる。

 

 【給与所得者数・平均給与・給与総額の平均成長率 20102013年】

  <給与所得者>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  <平均給与>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  <給与総額>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2-2 給与等の職業・地域別の分布

 ■年代ごとの年収分布

 下のグラフは、ホワイトカラー系社員に限るが、サンプル調査の結果として年代ごとの年収の分布を表している。

ホワイトカラー系社員では、20代男性の4%、20代女性の2%で、年収600万円を超える層が存在する。また、50代になると、年収1,000万円を超える層は、男性で20%、女性で7%となる。平均給与の推移では女性の場合、年齢に合わせた上昇が期待できないが、比率は少ないものの年代が高い女性には高所得者層も存在する。

 

 ■業種・年齢別の給与分布

下の表は年齢(5歳階級)別の業種ごとの給与所得者数を表している。さらにその下の表は業種別の年齢分布である。卸小売、宿泊・飲食業では若い世代が多く、不動産・物品賃貸業では就労者の年齢は高くなる。金融・保険業では40代から50代前半、情報通信業では20代、30代が給与所得者数の比率として大きくなる。

 

 【業種別・年齢(5歳階級)別の給与所得者数 2013H25

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        ※非表示

 

 

 

 

 

 

 

【業種別 年齢(5歳階級)別の給与所得者数比率 2013H25

(注:色分けは他の業種との比較での高低であり、その業種の中での比率の高さを示しているものではない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.消費者物価の推移

3-1 主要物価指数

 2000年から2014年の推移

 2010年を100として物価の推移を示している。全体的な物価の推移としてはそう大きな変動はないが、2013年から2014年にかけてやや上昇が認められる。

2014年は4月に消費税が8%に見直されたが、この分を差し引いても物価は上昇したとの見解となっており、品目別の消費者物価指数の多くは、2010年前後から徐々に上昇してきた経緯がある。

 

円安による原材料費等の上昇分が価格に転嫁されたこともあり、物価の上昇分がデフレ経済の終焉を意味し、次の経済の成長への原動力となるかどうかは、不明瞭な部分が多い。

企業は雇用者の非正規化を継続させている。労働コストを下げて、製品価格を抑えるビジネスモデルは今後も続き、企業は収益について厳しく見ている。価格等上昇分の給与への反映は業種や企業規模、地域等で格差が残ると考えられる。

 

 【総合物価指数の推移】            【為替相場の推移】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■食料、住居、家具・家事用品

 下の左グラフのとおり、家具・家事用品の消費者物価指数は2000年から急速に低下してきた。

我々の生活に欠かせない住居は空き部屋が増えるなどで下降が続き、食料は反対に上昇基調にある。食料は、仕入れ・輸入価格の変動や生産地の状況等の影響を受けやすい。また、外食の消費者物価も食糧消費者物価指数の全体を押し上げている。

 

企業間の競争で価格下落が続いた通信と、デジタル技術で小型化、高機能低価格化が進んできた教養娯楽用耐久財(テレビやパソコン、オーディオ機器等)などが含まれる教養娯楽は、消費者物価を大きく下げている。

 

 【主要消費者物価指数の推移】

  <食料、住協、家具・家事用品>                <食料(再掲)、住居>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  <通信、教育、教養娯楽、保健医療>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3-2 主要品目分類別消費者物価指数

■生鮮食品他

食料は生鮮品を中心に消費者物価の上昇が顕著である。産地の影響による仕入れ価格の変動の他、食に安全性を求めて国産品を選ぶ動きなども影響している。食料は世界的にも調達価格の上昇があり、今後も持続的な上昇基調が続く可能性が高い。購入者も品質の他、なるべく無駄をなくす購入と消費を考えるようになるため、小分けにした商品を求めたり、長持ちする食品・食材を選んだりするなど、購買行動が今後も変化していくだろう。

 

 【消費者物価指数の推移<生鮮食品他>】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■穀類

米やめん類など主食である穀類の消費者物価指数は、増減を繰り返しながらもほぼ横ばいで推移している。下右グラフのとおり、米類の消費者物価が下がり、パンと麺類の消費者物価が上昇し、現在はほぼ同じ位地で推移している。

米は多くの産地から多数の銘柄が販売されており、価格も低価格品から中・高級品までバリエーションが増えた。無洗米など手間がかからず炊ける工夫もある。

一方、パン類、めん類はもともと価格が低く、上昇の結果現在の位置にある。パン類はバリエーションが増え、朝食の食卓に上がるだけのものではなくなった。めん類も種類や提供方法が、生めん、即席めん、カップめんとあるが、安く簡単に調理できるものだけでなく、好みや求める味のレベルに応じて、商品の幅も広がって提供されるようになった。

 

 【消費者物価指数の推移<穀類>】

  <穀類全体>                         <主要穀類の分類別>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■魚介・生鮮魚介、肉類、乳卵類

いわしやさんまなどは代表的な庶民の食材であったが、1990年代前半まで価格を上昇させ、一方の肉類が価格を下げてきたことから、魚介類について割高感が出てきた。さらにハンバーグやステーキなどの洋食の肉類が一般家庭でも入手・調理できるようになり、子供を中心に魚を嫌う傾向も顕著になった。共働きの主婦層にとっては魚の調理・調理後の器具の清掃は面倒であり、食卓に上げる機会も見送り気味になりやすい。すぐに食べられる刺身は加工した分が価格に転嫁され、価格上昇の一因ともなっている。さらに調味料も充実してきたことで、肉類も味付けのバリエーションが増やせるようになり、魚介類よりも好まれる傾向を後押しした。

2000年からの推移では、肉類が価格上昇を継続させており、ここ数年は魚介類とともにやや大きく価格を上昇させたが、肉類の方がまだ低い位置にある。

肉類は外国産の輸入肉の安さなどが代表的だが、産出国での問題や為替の影響を受ける。一方で安全性や味の面で国産肉も選ばれる傾向にあり、和牛などは需要を反映した価格推移となりやすい。

魚介類の需要の回復は見込めず、その分が肉類へ移行するため、外国産の価格の変動が肉の消費者物価に大きく影響するが、肉類の価格は当面、現在の傾向を継続させることになるだろう。

 

 【消費者物価指数の推移<魚介・生鮮魚介、肉類、乳卵類>】

 

     ※グラフ

 

 ■野菜・海藻、生鮮野菜、果物・生鮮果物

野菜等の価格は産地の天候不順に左右される。冷夏、大雪、異常低温、長雨などで小売価格は都度上昇する。産地の問題が解決され、需要に合った、あるいは需要を上回るほどの収穫となれば、保存ができないために安く提供される。

 2000年からの価格の推移を見る限り、上がり下がりはあるものの結果として上昇基調を持続させている。

 

【消費者物価指数の推移<野菜・海藻、生鮮野菜、果物・生鮮果物>】

 

     ※グラフ

 

 ■油脂・調味料

 

     ※非表示

 

 ■菓子類、調理食品、飲料、酒類

 

     ※非表示

 

 ■外食

 

     ※非表示

 

 ■家賃等

 

     ※非表示

 

 ■住宅設備修繕・維持費、水道光熱費

 

     ※非表示

 

 ■家庭用耐久財

 

     ※非表示

 

 ■家具類、家事用品・サービス

 

     ※非表示

 

 ■和服、洋服、シャツ・セーター類、下着・履物類

 

     ※非表示

 

 ■医薬品等、健康関連器具/サービス

 

     ※非表示

 

■交通、自動車等、通信費

 

     ※非表示

 

 ■授業料等、教育・教材費等

 

     ※非表示

 

 ■教養娯楽用耐久財、情報通信関係費

 

     ※非表示

 

 ■教養娯楽用品・サービス、書籍・他印刷物

 

     ※非表示

 

 ■理容サービス・用品、身の回り品、たばこ

 

     ※非表示

 

 

※グラフやその数値を知りたい方は、左フレームContents内の「Data」をクリックして下さい。

 

この章のはじめへ